50人以上の転職エージェントと会ってみて…よいエージェントはいるのか!?

今、転職を検討している方、または現在転職活動中の方。転職エージェントさんとはうまく付き合っているでしょうか?

「とりあえず話を聞いてみよう」と気楽にコンタクトをとっただけなのに、いきなり10~20件ほどの求人を紹介されて「書類選考の通過率は20%です。とにかく応募しましょう」なんて不安を煽るようなことを言われて、考える時間もなく応募を急かされてしまった。とか、

エージェントに相談したものの、本当に行きたい業界や会社については流されて、エージェントが勧めてきた会社に応募させようとしてくる、だったり相談したものの「いい求人あったら紹介します」と言われ、その後連絡がない。など。

実は転職エージェントさんとの付き合いには注意が必要で、3つの理由があります。

  1. 転職エージェント業界がレッドオーシャン
  2. 転職エージェントのビジネスモデル
  3. 転職エージェント自体の業界経験や転職経験

実際、私はこれまでに8社経験しており、転職エージェントの会社は10社以上、総勢50人以上の転職エージェントと会っています

また、企業の採用担当者としても転職エージェントさんとお付き合いがありました。
この記事では、私がこれまでの転職活動と企業の採用側の両面から見てきた転職エージェントについてのTIPSをまとめるとともに、どのように転職活動を進めていけばよいかをまとめました。

皆さんの転職活動の参考になればよいと思います。

目次

よい転職エージェントは残念ながら少ない

結論、よい転職エージェントは残念ながら少ないと思います。

そのため、転職エージェントだけではなく、企業スカウトや直接応募を使いながら転職活動を進めるのがよいと思っています。

なぜなら、これまで私は50人以上の転職エージェントと会ってきましたが、今後もお付き合いしたいと思えたり、自信をもって友人に紹介できるようなエージェントさんは3人しかいませんでした。

僕の考える良い転職エージェント

50人以上の転職エージェントと会った私が思う、よいエージェントの特徴は以下の通りです。

  • 転職先の業界、企業、職種について詳しく、自分なりの明確な答えを持っている
  • 求職者自身のパーソナリティー、未来も考慮して転職先を検討してくれる
  • 求職者の検索だけでは出会えないような会社を紹介してくれる
  • 紹介先の企業について詳しく、メリット/デメリットも含めアドバイスをくれる

ただし、以下の3点により上記を満たすエージェントはかなり少ないというのが現状です。

  1. 転職エージェントのビジネスモデル
  2. 転職エージェント業界がレッドオーシャンに突入している
  3. 転職エージェント自体の業界経験や転職経験

1. 転職エージェントのビジネスモデル

まず、転職エージェントのビジネスモデルを考えてみましょう。

転職エージェントは完全に成果報酬ビジネスです。 すごくシンプルに言ってしまうと、転職エージェントは、企業へ人材を入社させることにより報酬(入社した方の年収の30~40%、今は人材不足で高騰しており60%とも聞きます)を得ています。

つまり「転職させることがマスト」になります。 会社を存続させたり、売上達成のために人材を右→左に移動することによって成り立っているので、転職者がその後どうなろうとエージェントには関係ないのです。これは「善とか悪」ではなく「そういうビジネスモデルだ」と考えてください。

彼等も転職させて初めて売上が立つわけですから、

  • とにかくたくさんの会社に応募させようとする
  • 転職させやすい人材を優先的に対応する
  • 内定が出たら承諾を強く進めてくる

みたいなことは当然といえば当然なわけです。

ちなみに多くのエージェントに聞く限り「人材ビジネスは儲かる」とのことです。
まぁ、人を転職させて数百万なので、美味しいといえば美味しいのかもしれません。

2. 転職エージェント業界がレッドオーシャンに突入している

2020年時点で転職エージェントの会社は26,793社もあります。
日本のコンビニの数が約57,000店くらいなので、コンビニの半分より少し少ないくらいですが、転職する人数からみるとかなり多い、ということが分かるのではないでしょうか。
令和2年版 民営職業紹介事業所数の推移 – 厚生労働省(PDFが開きます)

また資本金500万程度で始められるため、参入障壁はかなり低いと言えるでしょう。 (この辺は調べればでてきます)

実際ビスリーチなどの大手転職サイトに登録すると、聞いたことのない転職エージェントの会社からたくさん声がかかるということもレッドオーシャンだということを表していますよね。
(中古車の買い取りビジネスみたいですね)

先程のビジネスモデルと合わせて考えると「とにかく人を移動(転職)させる」という自転車操業の会社もなかには多いのではないかと想像できます。

3. 転職エージェントは求職者の業界で働いた経験があるわけではない

そもそも転職エージェント自体は「転職のプロ=自分自身が転職を何度も成功させている」ではありません。(そういった方もなかにはいるかもしれませんが)

さらに、あなたが転職したい業界で実際に働いた経験もおそらくないでしょう。

例えば、あなたが「WEBディレクター」として、転職先を探しているとします。 あなたの担当エージェントはWEBディレクターの経験もないし、転職経験もない場合、どんな理由であなたに転職先を紹介することができると思いますか?

あなたのツライ気持ちやモヤにどうやって共感することができるでしょうか。
また、転職先の会社の仕事内容や進め方の良し悪しをどう理解することができるでしょうか。
普通に考えれば「知らないからできない」となりますよね?

転職エージェントは使わないほうがいいのか?

いろいろと転職エージェントのネガティブな話が続いてしまったのですが、「じゃあ、転職エージェントって使わないほうがいいの?」というとそうでもありません。

結論、転職エージェント「も」使って転職活動を進めていきましょう。が僕の答えです。
転職エージェントが持っているものが2つあります。

  • 企業の求人情報
  • 企業でどんな人が採用されているかの情報

企業の求人情報

自分の受けたい業界や会社などが決まっていれば、紹介された中から応募すればよいですし、紹介された中になければ、「こういった会社はないですか?」とオーダーしてみるのがよいでしょう。

よいエージェントさんであれば、企業担当に問い合わせてくれますし、「こういう方がいるのですがポジションないでしょうか?」と企業に働きかけてもくれます。

出てこなければ他のエージェントに同じオーダーをしてみてください。

企業でどんな人に内定が出ているかの情報

つまり「内定者データベース」ですね。これが一番大きいのではないかと思っています。
理由は2つあります。

  • 内定を得るために必要なスキル、経験、カルチャーなどの目安になる。
  • 面接対策

よい転職エージェントは面接の後、必ず企業に面接のフィードバックを求めます。たとえお見送りだったとしても理由を聞きます。この情報が蓄積されることにより、この企業(の○○○さんは)はこんな感じの言動はポジティブに受け取られるが、こんな言動はネガティブに働く。みたいなものが分かってきます。

転職エージェントを通して面接に進む場合、必ずその企業や担当者ごとの面接対策を聞いてみるようにしてください。

※面接対策を聞いても何も出てこない場合、そのエージェントとは付き合うのをやめたほうがよいでしょう。そのエージェントしか持っていない求人案件なんてのはほとんどないので、他のエージェントの経由で応募するか、直接応募もありです。

よい転職エージェントを選ぶために

よい転職エージェントは少ないですが、熱意のあるよいエージェントの方は存在しています。
転職エージェントを見極めるために以下のような質問を投げかけてみるとよいかもしれません。

自分の行きたい業界、職種、企業についての質問
自分が持っている情報やネット検索以上の情報がでてくるかどうか。

どういった観点でその企業を推薦しているか
勧めるだけの明確な理由があるか。

「あなたはどう思うか?」
「○○○さんには、○○○さんだからこの企業がよいと思います」と求職者を理解した上で、転職エージェント自身の考えを伝えることができる。

まとめ:転職エージェントだけに頼らない転職活動をしよう!

上記の通り、転職エージェントは「転職のプロ」ではありません。 ビジネスモデル上、あなたにとってよい転職ができる可能性が高いとは言えません。

そのため、転職先をエージェント経由だけでなく、並行してビズリーチやリクルートダイレクトスカウト、Green辺りで直接探して並行して転職活動を進めることをオススメします。

おすすめの転職活動の流れ(別記事を執筆中)

  1. 転職の3つの軸を整理する
  2. ビズリーチとリクルートダイレクトスカウトに登録する
  3. 軸に合う会社を自分で検索してリスト化する
  4. スカウトに対応する
    1. 企業スカウト→軸に合っていそうかな?と思えたらとりあえずカジュアル面談へ
    2. エージェントスカウト→ランクがS、A、最低でもBまでのエージェントと面談へ
  5. カジュアル面談で聞いておくことを整理する
  6. カジュアル面談(面談、面接は2日/週程度がよい。それ以上だと結構きつい)
  7. 面談、面接の後は必ず振り返りをする
  8. 選考に進む(面談、面接は2日/週程度がよい。それ以上だと結構きつい)
  9. 選考
    1. 面談などにより軸が変わったり気づきがあったら、軸を整理してアプデしておく
    2. エージェント経由でない場合でも、信頼できるエージェントだったらなんでも相談する
    3. エピソードを聞く(プロダクト、サービス…)
  10. 内定をもらう
  11. オファー面談で確認しておくことを整理しておく
  12. オファー承諾

おまけ:転職エージェントのエピソード

(思い出したら随時追加していきます)

採用要件に見合わない方を推薦してくるエージェント

企業の現場マネージャーとして採用担当をしていたときの話です。

私は基本的に推薦者の履歴書、職務経歴書、ポートフォリオすべてに目を通していました。 1人の候補者を見るだけでもかなりの時間がかかります。

「採用要件に全然合っていない」と感じる方が大体70%、候補に上がるのが20%、実際に会ってみたいと思う方が10%程度でした。

このギャップは企業担当者の時間を奪うばかりでなく、候補者としても書類選考が通らず落ち込み、自己肯定感がどんどん下がっていき、追い詰められて行ってしまい誰も得をしないのです。

なぜここまでギャップがあるかというと、理由は2つ考えられて、

ひとつはすでに書いたとおり、転職エージェント自体があなたの希望する職種で実際の業務をやったことがないので、スキルレベルが分からないということです。
こういったことが続く場合、あらためて採用要件のすり合わせを行ったりするのですが、ほとんど改善した試しがありませんでした。

もうひとつの理由としては、やはり「とにかく応募だけしてみましょう」と応募要件に足りていない方に応募させている。ということだと思います。

ただし、エージェントの中には「この方、少しスキルや経験が足りないかもしれませんが、○○○○で○○○をやってご自身でスキルアップに励んでいたりして、とてもよいと思うので、ぜひ選考をお願いします!」と熱意のあるコメント(電話の場合も)と一緒に推薦してくるエージェントさんもいたりします。(こういったエージェントさんに会うと嬉しくなりますね)

レジュメアドバイスをしないエージェント

こちらも企業側のエピソードです。
何度かあまりにひどいレジュメのまま推薦してきたことがあったため、担当者にこう伝えました。

「本日ご推薦いただいた○○○さんですが、レジュメのレベルがあまりに低いです。改善のアドバイスをしてあげていただけないでしょうか?このレジュメで通る会社はおそらくないでしょう。このままでは○○○さんの転職活動がとてもツライものになるのが目にみえています。」

しかしこのエージェントさんからは返答もなく、その後も採用要件とのギャップの高い求職者をどんどん推薦してきました。(CMをバンバン流している業界では有名な大手エージェントです)

「面接は無料でいける会社見学」とおしえてくれたエージェント

これは37歳(7年前)のときの転職活動の話。
某有名転職エージェントのマネージャーと転職活動について電話相談していたときに、彼が言った言葉です。

「○○○さん、正直、受かるかどうかは誰も分かりません。確実に受かると思っていた人が落ちたり、さすがに無理だろうな、と思う人が受かったりすることもあります。

だから面接は無料で行ける会社見学会と思って気楽にどんどん行ってみてください。

そして面接のあと、帰りの電車の中で○○○さんがどう思うか。それが一番大切なんです。ちょっと違ったなぁと思ったら断ればいいですし、その会社に興味をもったら選考に進めばいい」と。

当時、書類が通っても面接へ行く自信がなくグダグダしていたときだったように思います。この言葉はなぜだか7年経った今でも忘れないでいて頭にずっと残っています。
この言葉を聞いてから心がふわっと軽くなったことを覚えています。

転職エージェントから拒否された求人案件に直接応募してみたら…

今度は求職者としての話です。
リクルートダイレクトスカウトで候補の求人を検索→とある転職エージェントが持っていた求人案件だったので「応募したい」と連絡を入れました。

しかし、転職エージェントからは以下のような返事が返ってきたのです。

WEB上にご登録されているご経歴と求人の募集要件を社内にて慎重に検討させて頂きましたが、ご紹介が難しいため今回は面談をお見送りさせていただきたくご連絡させていただきました。

自分的には求人内容と自分のキャリア、スキル的に大きなギャップはないと思っていたので、その企業の採用サイトから直接応募してみました。
…結果、残念ながら内定はいただけなかったのですが、最終面接まで進むことができました。

この事実からも、転職エージェント自身が求職者のキャリアやスキルを明確に判断できていないということが分かると思います。

よい転職を!

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この記事を書いた人

40代、デザイナー、アパレルEC運営、WEBディレクター、アプリ開発PMとIT業界を横断。現在8社目のジョブホッパー。

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